こんにちは!BEYOND中野店店長の早乙女(@saotome_takutoshi)です。
「フィジークで勝てる腕を作りたい」「フィジークにおいて腕はどれくらい重要なのか」
こうお考えではありませんか?
腕の筋肉は他の部位でも使われる汎用性に優れた筋肉ですが、フィジークにおける重要性はいかほどのものか知らない方も多いでしょう。
そこで今回はフィジークで勝てる腕の作り方や、知っておくべき解剖学の知識などを紹介していきます。
フィジーク体型になるために必要な腕の解剖学
フィジーク体型を目指すためには腕の解剖学の理解が必要となります。腕の筋肉の中で、とりわけ理解が欠かせない筋肉は以下の通り。
- 上腕二頭筋
- 上腕三頭筋
- 腕橈骨筋
腕の筋肉①上腕二頭筋
上腕二頭筋は、力こぶを作る筋肉です。主な作用は以下の通り。
- 肘関節の屈曲(肘を曲げる)
- 肩の屈曲(腕を前方に上げる)
- 前腕の回外(手のひらを時計回りに回す)
上腕二頭筋は肩関節と肘関節をまたいでいる二関節で、長頭と短頭に分かれています。
肘を曲げる以外にも手首を回す回外や、腕を前に振る肩の屈曲など、意外に多くの作用があるのが特徴です。
腕の筋肉②上腕三頭筋
上腕三頭筋は文字通り、外側頭、内側頭、長頭と三つに分かれる筋肉です。
上腕三頭筋の主な作用は以下の通り。
- 肘関節の伸展(曲がった状態の肘を伸ばす)
- 肩関節の伸展(腕を後ろに振る)
- 肩関節の内転(肘を高く上げた状態から腕を頭の後ろに振る)
初心者は上腕二頭筋ばかり鍛えがちですが、体積は三頭筋の方が大きいので三頭筋を鍛えた方が早く太い腕になります。
外側頭と内側頭は肘の曲げ伸ばしというシンプルな作用なので、ベンチプレスなど大胸筋の種目でも鍛えられています。
また、長頭は肩関節もまたいでいるので、肩の後部を収縮させる伸展やストレッチさせる内転といった動作でも鍛えられるのが特徴です。
腕の筋肉③腕橈骨筋
腕橈骨筋は前腕の親指側に位置する筋肉です。腕橈骨筋の主な働きは以下の通り。
- 肘関節の屈曲
- 前腕の回内(手のひらを反時計回りに回す)
- 前腕の回外(手のひらを時計回りに回す)
手のひらを上に向けて肘を曲げると上腕二頭筋が強く働きますが、手のひらを下や横に向けた時に腕橈骨筋が強く働きます。
比較的あまり知られていない筋肉ですが、他のトレーニングでも動員されやすい筋肉なので意識して鍛えなくとも発達している方も多いです。
フィジークにおける腕は他の部位を間接的に際立たせる
優先度は低い
フィジークにおける腕の筋肉は結論、背中や肩の筋肉と比べると優先して鍛える必要はありません。
その理由は胸のトレーニングで上腕三頭筋、背中のトレーニングで上腕二頭筋が動員されているからです。
つまり、他の筋肉と同じバランスで鍛えていると腕だけ鍛えすぎている状態になるのです。
また、腕が太すぎると肩が相対的に小さく見えてしまい、逆三角形が理想とされるフィジークではマイナス評価になりかねません。
他の筋肉を際立たせる位置付けで行いたい
ただし、逆に考えれば腕を鍛えておくと、胸や背中のトレーニングでのパフォーマンスがアップします。
特にベンチプレスや懸垂、ベントオーバーロウといった高負荷な種目時に腕を鍛えておくと高重量を持ち上げやすくなります。
高重量を持ち上げられると筋肥大効率も高まり、結果的にフィジークで勝てる身体になります。
フィジークで勝つためには腕のボリュームは少なめでもいいが、軽視してはいけないのです。
フィジーク体型になるための腕のトレーニング種目
フィジーク体型になるための腕のトレーニング種目を紹介します。
フィジークの腕を作る上腕二頭筋の種目①アームカール
アームカールは上腕二頭筋を鍛える最もベーシックな種目です。
バーやEZバー、ダンベルなど様々なやり方がありますがEZバーが安全かつ軌道も掴みやすいのでおすすめです。
初心者は肘を前後に揺らしがちですが、こうすると上腕への負荷が逃げる上に収縮もできず非効率です。
基本は肘を体側で固定した状態で、肘を支点に弧を描くように持ち上げましょう。
- 腰幅くらいに足幅を設定し、肩幅くらいの手幅でバーを握る
- バーを握ったまま脇を締めて、肘を体側に合わせる
- 肘を体側に合わせたまま肘先を巻き上げる
- 最大収縮した所でバーを元に位置に戻す
フィジークの腕を作る上腕二頭筋の種目②インクラインアームカール
インクラインアームカールは、通常のアームカールでは負荷が抜けてしまうポイントでストレッチの刺激を強烈に加えられる種目です。
日本を代表するボディビルダーの山岸秀匡さんは、インクラインアームカールが上腕二頭筋の発達に最も効果的だと言っています。
初心者は収縮の方にしか意識が向いてない場合が多いですが、インクラインアームカールの真骨頂はダンベルを下ろしていくネガティブ局面です。
できるだけゆっくり下ろし、反動を使えないようにボトムで一瞬ストップすることで劇的に効き方が変わります。
- ベンチの角度を45度にして座る
- 両手にダンベルを持ち、肘を軽く曲げた状態で腕を下ろす
- 肘を後ろで固定したまま肘先を巻き上げる
フィジークの腕を作る上腕三頭筋の種目③トライセプスプレスダウン
トライセプスプレスダウンは、バーを引き下げながら肘の曲げ伸ばしを行う種目です。
ポイントは脇を締めた状態を保ちながら行うことです。脇を締めることで負荷が肩に逃げるのを防ぎ、上腕三頭筋の外側頭や内側頭に負荷を集中できます。
肘を痛めにくい種目なので、怪我せず筋肉を成長させていきたい場合はトライセプスプレスダウンを高重量種目とするのも良いでしょう。
- バーを最も高いところに設置
- バーを両手で抑えたまま肘が垂直になるくらいまで下ろしてセット
- 足幅は肩幅くらいで少し膝を曲げて前傾姿勢を作る
- このまま脇を締めた状態で肘を伸ばしてバーを引き下げる
フィジークの腕を作る上腕三頭筋の種目④ライイングトライセプスエクステンション
ライイングトライセプスエクステンションは、仰向けになった状態でバーを持ち、肘先の曲げ伸ばしを行う種目です。
肩関節も動くので上腕三頭筋の中でも鍛えにくい長頭をメインで鍛えられます。しかし、肘にかかる負荷が大きく、動作中肘に痛みを感じる方もいます。
- EZバーの中心部を「ハの字」になるように握り、ベンチに仰向けで寝る
- バーを頭上に持ってきて、肘は軽く曲げておく
- 肘の位置を固定したまま、肘先を頭の後ろに向かって下ろしていく
- 頭を過ぎたあたりで折り返す
その場合は下記の動画のように、ダンベルが向かい合うようなグリップでやると肘への負担が和らぎます。
フィジークの腕を作る上腕三頭筋の種目⑤キックバック
キックバックは片腕に集中して上腕三頭筋を鍛える種目です。
肘を体側に固定した状態で、肘先が弧を描くように振り上げるのがポイントです。
さらに体側まで持ち上げたら、さらに肘ごと後ろに振り上げると長頭まで負荷をかけられるので効果的です。
- ベンチに片手と片膝をついた状態で、反対側の手でダンベルをもつ
- 上体は地面と水平くらいの姿勢を保ち、肘を垂直にして体側の高さに揃える
- 肘を伸ばしてダンベルを後ろに振り上げる
- 体側を過ぎたあたりで元の位置に下ろす
フィジークの腕を作る腕橈骨筋の種目⑥ハンマーカール
ハンマーカールはアームカールと同様の動きを、親指側が上に来るようにして行う種目です。
こうすることで上腕二頭筋に効きづらくなり、代わりに腕橈骨筋や上腕筋(二頭筋と三頭筋の間にある)という筋肉が鍛えられます。
ダンベルを握る際は手首が反らないように親指側でしっかりと握り込むことで、負荷が腕橈骨筋に乗りやすくなりますよ。
- 両手にダンベルを持った状態で、親指側を上にして肘を体側に合わせる
- 肘を固定したまま、肘先を巻き上げる
- 肘の角度が45度くらいまできたら、元の位置に戻す
フィジーク体型になるための腕のトレーニングテクニック
一般的なトレーニングは10回×3セットや15回×3セットが一般的ですが、いつも同じトレーニングをしていても身体が負荷に慣れてしまい成長は見込めません。
そのため、日々のトレーニングで刺激の変化を加えることが重要です。変化を加えたい時におすすめのトレーニングテクニックは以下の5つです。
①レストポーズ法
レストポーズ法とは1つの種目を高重量で限界までこなす→30秒以内のインターバルを取る→再度限界まで追い込むという流れを計4セットほど行う手法です。
高重量(90%1RM程度)を扱う場合は通常インターバルを2分以上設けて同じ回数をこなします。
- ケーブルアームカール
- トライセプスプレスダウン
②コンパウンドセット法
コンパウンドセット法は同じ筋肉を鍛える種目を連続で行う手法です。背中の場合はラットプルダウンとシーテッドローを連続で行うイメージです。
2種目を連続で行うため、それぞれの重量は70-80%(1RM)程度に設定するのがおすすめ。
- アームカールを10回行う
- インクラインアームカールを10回行う
- インターバル
- 1-3を繰り返す
もしくは上腕三頭筋の場合、トライセプスプレスダウンとキックバックを組み合わせるのがおすすめ。
③スーパーセット法
スーパーセット法は拮抗筋の関係にある筋肉を交互に鍛える手法です。拮抗筋とは表裏の関係にある筋肉のことで、片方の筋肉を鍛える時、もう片方の筋肉が緩む関係にあります。
腕の場合、上腕二頭筋と上腕三頭筋が互いに拮抗筋の関係にあるので、それぞれの種目を交互に行います。その場合の具体例は以下の通り。
- アームカールを10回行う
- ライイングトライセプスエクステンションを10回行う
- インターバル
- 1-3を3セット繰り返す
④ドロップセット法
ドロップセット法は限界まで追い込む→インターバルなしで重量を下げて限界まで追い込むという流れを繰り返すトレーニング方法です。
インターバルなしで限界まで追い込むという流れを繰り返し、行うことでオールアウトでき、筋肥大効果が期待できます。
腕の場合、アームカールをケーブルで行うケーブルアームカールや、トライセプスプレスダウンが適しています。具体的なやり方は以下の通り。
- 10-15回で限界が来るような重量で追い込む
- インターバルなしで1から20%程度重量を落とし追い込む
- インターバルなしで2から20%程度重量を落とし追い込む
- インターバルなしで3から20%程度重量を落とし追い込む
⑤アセンディングセット法
アセンディングセット法とはセットごとで重量を上げていく手法です。セットごとに重量が上がっていき、最終的には90%RM程度の重量となります。
通常のトレーニングに比べて段階を踏んで高重量に突入するので、身体が高重量の刺激を受け入れる準備が十分にできた段階で臨めます。
アセンディングセット法の具体例は以下の通りです。
- 60%RMで10回
- 70%RMで8回
- 80%RMで6回
- 90%RMで2-3回
トレーニングテクニックについて、詳しくは以下記事でも解説しているので、是非ご参考ください。

腕のトレーニングでの注意点
腕のトレーニングの際に注意すべきポイントは以下の2つです。
- 胸や背中のトレーニングとは離す
- 種目数やセット数は少なめに
胸や背中のトレーニングとは離す
胸のトレーニングで上腕三頭筋、背中のトレーニングで上腕二頭筋が使われるので、その翌日に腕の日を持ってきてしまうと疲労でパフォーマンスが低下します。
それぞれ数日間は離すことで、各筋肉がフレッシュな状態で鍛えるべきです。あるいは胸と上腕二頭筋、背中と上腕三頭筋を組むのは構いません。
種目数やセット数は少なめに
腕が胸や背中のトレーニングで使われているので、他の部位と同様のボリュームで行ってしまうと腕だけ過剰なトレーニング量となってしまいます。
フィジークの場合は腕よりも肩や背中の方が重要なので、腕の種目数を1つ減らす、セット数を1つ減らすなど少なめに設定するのを意識しましょう。
他の部位を際立たせるために腕を鍛えよう
今回はフィジーク体型になるために必要な腕の解剖学や、おすすめの種目解説などを行ってきました。
フィジークにおいて腕はあくまで補助的な意味合いが強いですが、他の部位のトレーニングパフォーマンスを高める上で重要な筋肉でもあります。
ぜひ、今回のトレーニングを参考にフィジークで勝てる腕を作っていきましょう。